吉識雅夫(読み)よしきまさお

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「吉識雅夫」の意味・わかりやすい解説

吉識雅夫
よしきまさお

[生]1908.1.20. 兵庫
[没]1993.6.27. 東京
造船工学研究者。 1930年東京大学工学部卒業,同学部講師を経て 44年同教授,同工学部長を歴任,82年から東京理科大学学長。朝鮮戦争契機に連合国総司令部 GHQの強いた造船制限が撤廃されたのをきっかけに前近代的な造船技術から脱皮する方向を模索,あらかじめ部材組合せ,溶接して造っておいたブロックを積重ねて合体する「ブロック建造法」を開発。第2次世界大戦後,日本が「造船王国」と呼ばれ,巨大タンカー時代を謳歌する技術的基礎を提供した。世界の船舶界で,海難事故の原因の1つとして恐れられていた鋼板低温脆性メカニズムを明らかにした研究は,世界的な評価を得た。日本学術振興会理事長,宇宙開発委員会委員長代理などを歴任。 66年学士院賞受賞,82年文化勲章受章。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「吉識雅夫」の解説

吉識雅夫 よしき-まさお

1908-1993 昭和時代の船舶工学者。
明治41年1月20日生まれ。昭和19年母校東京帝大の教授となり,37年工学部長。退官後,日本学術振興会理事長などを歴任し,57年東京理大学長。大型船のブロック建造法を確立,また鋼板の脆性(ぜいせい)破壊機構を解明するための二重引張試験法を開発した。41年学士院賞。57年文化勲章。平成5年6月27日死去。85歳。兵庫県出身。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android