否とよ(読み)イナトヨ

デジタル大辞泉 「否とよ」の意味・読み・例文・類語

いな‐と‐よ【否とよ】

[感]《「と」は格助詞、「よ」は感動の意を表す間投助詞他人言葉を否定し、自分気持ちなどを述べようとするときに用いる語。いやそうではないよ。いやとよ。
「しら魚といふこそよからめといへば…、―、世にしら猫ともしら鼠ともいふにこそとうちこまれ」〈鶉衣・百魚譜〉

いや‐とよ【否とよ】

[感]感動詞「いや(否)」+連語「とよ」から》いや、そうではないよ。いやいや。いなとよ。
「―源太。都はいまだいくさなかば、そなた一人帰されしは心得ず」〈浄・盛衰記

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「否とよ」の意味・読み・例文・類語

いな【否】 とよ

  1. ( 「とよ」は、格助詞「と」と終助詞「よ」の付いたもの ) 他人のことばに同意しないで、自分の気持、意見を表わすときに発することば。いやそうではない。いいえ、いやいや。いやとよ。→いさとよ
    1. [初出の実例]「しら魚といふこそよからめといへば、かたへの童のさし出(いで)て、いなとよ〈略〉とうちこまれて」(出典俳諧・鶉衣(1727‐79)前)

いや【否】 とよ

  1. 他人のことばを強く打ち消す時のことば。いやそうではない。
    1. [初出の実例]「『さやうに人をも恨み給はば、われも恨みは有明の、見よとて送りし形見をば、なにしに返させ給ふらん』『いやとよ形見を返すとは、思ひ余りし言の葉の、見るたびに心づくしの髪なれば』」(出典:謡曲・清経(1430頃))

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