和南津村(読み)わなづむら

日本歴史地名大系 「和南津村」の解説

和南津村
わなづむら

[現在地名]川口町和南津

魚野うおの川南側の湾曲部一帯を占める。下流西川口村上流下島しもじま(現堀之内町)。枝村に小貫こつなぎ和南津沢わなづざわ北野岡きたのおかがあり、西川口境の小和北こわきたの集落がこれにあたる。湾曲部の尖端には八郎場はちろうばの集落がある。和南津の呼称は古く、かつ広い地域をさしたらしい。対岸中山なかやま村はかつて当村に属し、上川かみかわ郷和南津と称したが、寛文七年(一六六七)に分村したという。現在中山地内には、和南津沢の字名がある。現堀之内ほりのうち町地内にも和長島わながしまがあるが、かかわりは不明。寛治三年(一〇八九)と伝える往昔越後国之図(武内家文書)によると、小千谷おぢや以北の長岡から蒲原かんばら平野方面はことごとく海となっている。このことから、川口は海に注ぐ河口であり、和南津の津は海港を意味するとの説がある。また同図には魚野川輪奈津わなづ川と記す。「古事記」垂仁天皇の「本牟智和気王」の項に、この王子の言語障害を治すために、山辺の大が天皇の命で鵠の鳥を追い、信濃国から高志こし国に至り、「和那美の水門わなみのみなと」に網を張ってこの鳥を捕らえ、献上した記事がある。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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