出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
新潟県のほぼ中央にある市。1954年市制。人口3万8600(2010)。信濃川中流域と支流魚野川流域を後背地とする谷口商工業都市で,JR上越線小千谷駅は信濃川東岸に位置し,市街は信濃川段丘面に発達している。近世には上田銀山街道の宿場町,信濃川舟運の河岸場町であった。近世より越後上布,小千谷縮を特産したが生産が減じ,1976年重要無形文化財に選定され技術は保存されている。現在織物はつむぎが主体である。上越線が通じ,関越自動車道小千谷インターチェンジがある。北部の旧片貝町は伝統産業に札紙,桐下駄,醸造がある。特産は近世に起源をもつニシキゴイで,生きた宝石としてブームを呼び,3競売所がある。山本山(336m)は信濃川の河岸段丘で,山頂を谷地山台と呼び乳牛の放牧場で,中腹はスキー場,北麓に最大出力12.3万kWの小千谷発電所があり,さらに90年同出力20.6万kwの小千谷第2発電所が運転を開始した。朝日山,慈眼寺は戊辰戦争の史跡である。1980年小栗田に国立小千谷療養所(現,小千谷さくら病院)が移転した。
執筆者:磯部 利貞
現在の市街地の南西の茶郷から北方の千谷に向けて流れる茶郷川の流域の沖積平野が開発されて《和名抄》にみえる〈千屋郷〉となり,小千谷のはじまりとなった。小千谷とは〈千谷〉の一部につけられた地名から発している。現在の小千谷市の中心街の本町通りの基礎となった町並みが形成され,近世の小千谷町が誕生したのは1638年(寛永15)である。湯殿川が信濃川に合流するあたりの低い地帯を占めていた古い小千谷町から広い台地上に移り,整然とした町割りによる新しい町並みが形成された。幅7間の大通りの南北にそれぞれ49軒・50軒の家並みをもち,小千谷村の古高は439石余であったが,天和総検地では611石余となった。高田藩領から天領となり,会津藩の預所支配を受けてその陣屋が置かれた。江戸後期には縮布の生産と流通の活発化によって町が発展し,他国との交流により文化も栄えた。
執筆者:土田 隆夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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