和琴半島(読み)わことはんとう

日本歴史地名大系 「和琴半島」の解説

和琴半島
わことはんとう

屈斜路くつしやろ湖の南西部に突き出た半島。屈斜路カルデラから噴出した溶岩円頂丘が扇状地堆積物により陸とつながって、周囲四キロほどの半島になった。前近代には「ヲヤコツ」「ヲヤクチ」とよばれた。「戊午日誌」(久須利誌)には「是一ツの出岬にて湖の岬の方最早クツチヤロえ近し。其岬は湖中え一里も出たり。其岬一ツの島山と成り、高凡三四丁、廻り凡十七八丁、島山より陸迄凡二十七八丁は細くなりて、口一すじの洲になりて(中略)其島の東西湖中に突出する処は赤兀崩平となりて常に焼出たり。其烟吼々となりて噴出、夜に入哉中よりもえ出候火も其辺りを照らし、実に大一奇処也」と記されている。大正一〇年(一九二一)に来遊した大町桂月により和琴半島と命名された。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「和琴半島」の意味・わかりやすい解説

和琴半島
わことはんとう

北海道東部,弟子屈町の屈斜路湖南岸にある半島。湖に浮ぶ溶岩円頂丘 (鐘状火山) オヤコツ (標高 216m) が砂州湖岸につながったところ。半島基部に和琴温泉が湧出。半島は広葉樹主体とする混合林でおおわれる。林内に生息するミンミンゼミは北海道では道南地方を除いて,この半島だけに分布し,1951年和琴ミンミンゼミ発生地の名称天然記念物に指定。

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世界大百科事典(旧版)内の和琴半島の言及

【屈斜路湖】より

…屈斜路湖の東岸には,北から仁伏(にぶし),砂湯,池ノ湯,和琴の各温泉がある。湖の南部にある和琴半島は,尾札部川の扇状地が発達して連結された陸繫島で,周辺には各所に噴気孔があり,一帯はミンミンゼミの北限生息地として天然記念物に指定されている。湖は冬季でも凍結しないため,ハクチョウが飛来する。…

※「和琴半島」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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