改訂新版 世界大百科事典 「ミンミンゼミ」の意味・わかりやすい解説
ミンミンゼミ
Oncotympana maculaticollis
半翅目セミ科の昆虫。大型で,体長32~39mm,前翅の開張104~121mm。一見したところ,大きなセミの割りに体がとても短い感がある。頭部および胸部は黒紋と緑色紋を散りばめたようで,腹部は黒色。翅は透明で,翅端近くの脈上には一連の暗色紋がある。雄の腹弁は半円形で幅広く,腹部中央部でわずかに重なる。産卵管は腹端をこえない。胸背の斑紋には個体変異が見られ,ふつうは黒地に緑紋が点在するものと緑色にいくつかの黒紋のあるものの2型があるが,ほかにも黒色部をまったく欠くもの(ミカド型),体全体が黒色で緑色部を欠くもの,さらに上記の黒紋の少ない型でありながら地色が緑色でなく赤褐色のものなどがある。
朝鮮半島,中国,日本に分布し,日本では北海道から九州にかけて分布し,平地から山地にかけて見られる。西日本では山地性となることが多い。ケヤキ,サクラなどの広葉樹にすみ,高木の幹に止まってその名のようにミーンミンミン……ミーと大声で鳴く。ツクツクボウシのように夏後半に多くなるが,出現期は7月中旬~10月上旬である。分布北限の北海道釧路・和琴半島(屈斜路湖)の生息地は天然記念物に指定されている。
→セミ
執筆者:林 正美
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報