和讒(読み)わざん

精選版 日本国語大辞典 「和讒」の意味・読み・例文・類語

わ‐ざん【和讒】

〘名〙
① (形動) 一方で和らぎ親しんで、他方で事実をまげて悪くいうこと。また、そのさま。中傷讒言(ざんげん)
※本朝続文粋(1142‐55頃)一・初冬述懐〈藤原敦光〉「枉法棄廉恥、和讒諂諛
※保元(1220頃か)下「是れは清盛が和讒にてぞあるらむ物を」
② 助言すること。忠告すること。また、とりなすこと。仲介
明月記‐正治二年(1200)正月七日「予和讒云、故内府加叙給之時、垂纓細太刀引陣給之由、聊所見及也」
③ 内談すること。密語すること。
不仲になったものが再び仲良くなること。また、実情を明らかにして誤解をとくこと。弁明
※実隆公記‐明応四年(1495)九月三日「滋野井室家今日帰宅。此間聊夫婦有確執事。有和讒無為、仍罷向。有一盞事

わん‐ざん【和讒】

〘名〙 (「わざん(和讒)」の変化した語)
① 一方に親しみ、他をそしり陥れること。つげぐち。讒言(ざんげん)。また、悪口。あくたい口。
曾我物語(南北朝頃)九「なほもわんざんの者にて、何とかいふと思ひ」
浄瑠璃・当麻中将姫(1714頃)一「親に向ひ其わんざんは何事ぞ」
② (形動) 無理難題をふっかけること。言いがかりをつけること。また、そのさま。無法。
歌舞伎傾城壬生大念仏(1702)上「是はわんざん成事を仰られます」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「和讒」の意味・読み・例文・類語

わ‐ざん【和×讒】

一方で親しみ、他方で悪く言うこと。讒言。中傷。悪口。
「人の―を構へて申し候ひつらん」〈義経記・六〉
讒言・中傷のための不和状態をとりもってなごめること。仲介。
「予―して云はく」〈明月記・正治二年〉

わん‐ざん【×讒】

わざん(和讒)」の音変化。
「今日の手柄うらやましうての―ならば」〈浄・盛衰記

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

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