改訂新版 世界大百科事典 「和鋼」の意味・わかりやすい解説
和鋼 (わこう)
鉧押(けらおし)(和鋼製造法)で製造した鋼。〈わはがね〉ともいう。鉧押は,たたら炉で砂鉄から一挙に鋼を製造する日本古来の直接製鋼法である。炉内でつくられた各種品質の鋼の集合体を鉧という。炉から出して破砕し,空中放冷したものを火鋼(ひはがね),千草鋼(ちぐさがね),白鋼(しろがね)などと呼び,水中急冷して粉砕したものを水鋼(みずはがね),出羽鋼(いずははがね),延鋼(のべはがね)などと呼んでいる。粉砕選別した鋼を総括的に造鋼(つくりはがね)または玉鋼(たまはがね)という。造鋼はその寸法により,5~6寸(15.2~18.2cm)大のものを頃鋼(ころはがね)と呼び,小塊になるにしたがって角中,中折,小中折,目白と称し,1寸(3cm)以下の小粒を砂味(じやみ)という。和鋼の成分はだいたい炭素0.9~1.8%,ケイ素0.05%以下,マンガンこん跡,リン0.01~0.02%,硫黄こん跡の程度である。外国製法の洋鋼と比較すると著しく純良なのが特徴である。
→踏鞴(たたら)
執筆者:雀部 高雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報