唐櫃越(読み)からとごえ

日本歴史地名大系 「唐櫃越」の解説

唐櫃越
からとごえ

王子おうじあるいは山本やまもとより稜線伝いに山城下山田しもやまだ(現京都市西京区山田南町)に達する約六キロの間道。山陰道の北側をほぼ平行に走る。なお「山城名勝志」は「唐櫃越からふとごえ」として「丹波路大江山越一名也、但地蔵院浄住寺間ヨリ丹波王子村ニ出ル間道アリ、世ニ此道ヲ唐櫃越ト云誤ナルベシ」と山陰道(老ノ坂越)別名とするが不審。

暦仁元年(一二三八)一二月二七日付九条道家施入状(九条家文書)に、山城乙訓おとくに物集もずめ(現向日市)の四至として「北限丹波路唐櫃越」とみえる。また「山城名勝志」は建武三年(一三三六)の次の文書を載せる。

<資料は省略されています>

太平記」巻一七「山門牒送南都事」に、延元元年(一三三六)の記事として「今ハ四方七ツノ道、纔ニ唐櫃越からうとごえ許アキタレバ、国々ノ運送道絶テ洛中ノ士卒兵粮ニ疲レタリ」とあるのをはじめ、正平七年(一三五二)閏二月「千種少将顕経五百余騎ニテ、丹波路唐櫃越ヨリ押寄テ、西ノ七条ニ火ヲ上ル」(巻三〇)などと出る。


唐櫃越
からとごえ

現西京区山田南町より稜線伝いに現亀岡市山本に達する約六キロの間道。山陰道の北側をほぼ平行して走る。地名起源は、古墳から出た石棺(唐櫃)の意であるという。暦仁元年(一二三八)一二月二七日の九条道家施入状(九条家文書)に、山城乙訓おとくに物集もずめ庄の四至として「北限丹波路唐櫃越」とみえるのが早い例である。「大日本地名辞書」は建武三年(一三三六)古文書に「賀羅富津からふつ越」とあると記すが確かなことは不明。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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