唐櫃(読み)からびつ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

唐櫃
からびつ

,韓櫃とも書く。衣服,経巻などを収納する唐風の覆蓋造りの櫃。4脚または6脚で,その脚の上部の穴に紐を通してかつぐようにしたもの。木地のままのもの,朱塗りのもの,漆塗りのもの,蒔絵または螺鈿 (らでん) を施したものなどがある。現存するものでは奈良時代の正倉院蔵の密陀絵唐櫃,平安時代の『鳳凰円文螺鈿唐櫃』 (東京国立博物館) などが著名。なお櫃の長側の両面に手掛けの穴をうがった桟を1本ずつ打ったものは倭櫃 (やまとびつ) という。

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デジタル大辞泉の解説

からうず〔からうづ〕【唐×櫃】

かろうず

からうと【唐×櫃】

かろうと(唐櫃)

から‐と【唐×櫃】

からびつ」に同じ。
「―、米櫃、灰俵、打ち返してぞ捜しける」〈浄・冥途の飛脚

から‐びつ【唐×櫃】

《「からひつ」とも》脚が4本または6本の、かぶせぶたのついた方形で大形の箱。衣服や、図書・甲冑(かっちゅう)などを入れた。長(なが)唐櫃・荷(にない)唐櫃などがある。からうど。からと。からうず。かろうと。

かろうず〔からうづ〕【唐×櫃】

からひつ(唐櫃)」の音変化。
「包、袋、―などもて来騒ぐ」〈栄花・初花〉

かろうと〔からうと〕【×櫃】

《「かろうず」の音変化。「かろうど」とも》「からびつ」に同じ。
「内侍所の御―をもって、海へ入らんとし給ひけるが」〈平家・一一〉

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大辞林 第三版の解説

からびつ【唐櫃】

〔古くは「からひつ」〕
かぶせ蓋ぶたのついた箱で、四本または六本の脚のついたもの。衣服・文書などを入れるのに用いられた。平生は室内に置き並べ、また旅にも持って行った。からうづ。からうと。かろうと。

かろうと【唐櫃】

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

唐櫃
からびつ

物品、とくに比較的貴重な物や、重要な物を収めるための用具。長方形で、4本ないし6本の脚がついており、経巻(きょうかん)、衣類、調度品などを入れ、蓋(ふた)をかぶせて施錠できるようになっている。紐(ひも)が取り付けられるようになっていて、ここへ棒を通せば担いで歩ける。その名のとおり、中国から伝えられたものといわれる。これに対し、倭櫃(わびつ)とよばれるものもある。木製であるが、木地のもの、朱塗りのもの、漆塗りのものなど、仕上げはさまざまである。なかには、かなり豪華なものもあって、蒔絵(まきえ)や螺鈿(らでん)が施されたものもある。正倉院、金剛峯寺(こんごうぶじ)、厳島(いつくしま)神社などに伝えられるものが代表例としてあげられる。このように唐櫃は古くから使用された用具であるが、宮中などで使われるものは、貢納品として諸国に数を割り当ててつくらせていた。実用品として製作されたものではあるが、のちにはそれ自体が一つの装飾品とみなされることもあった。[胡桃沢勘司]

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精選版 日本国語大辞典の解説

からうず からうづ【唐櫃】

からうと【唐櫃】

からと【唐櫃】

〘名〙 (「からうと(唐櫃)」の変化した語)
※浄瑠璃・冥途の飛脚(1711頃)下「からと・こめびつ・はひだはら」
米櫃(こめびつ)をいう。
※俳諧・本朝文選(1706)八・伝類・霊虫伝〈去来〉「浮世に米といふ虫あり〈略〉しかはあれど家家にかひとられ、唐櫃(カラト)の中の辛(からき)め見しより」

かろうず からうづ【唐櫃】

〘名〙 (「からひつ」の変化した語) =からびつ(唐櫃)
蜻蛉(974頃)中「と書きて、かたはらなるからうづにゐざりよりて入れつ」

かろうと からうと【唐櫃】

〘名〙 (「からひつ」の変化した語。「かろうど」とも)
※平家(13C前)一一「大納言の佐殿(すけどの)は、内侍所の御からうとをもって、海へいらんとし給ひけるが」
幸若大織冠(室町末‐近世初)「くろかねしゃうをおろしゐむはむをもってふうしたる石のからうとの中よりも」
③ 墓石の下に設けた遺骨を納める石室。

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