嘱託殺人(読み)ショクタクサツジン

デジタル大辞泉 「嘱託殺人」の意味・読み・例文・類語

しょくたく‐さつじん【嘱託殺人】

本人から依頼されて殺すこと。自殺関与罪となる。→承諾殺人

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「嘱託殺人」の意味・読み・例文・類語

しょくたく‐さつじん【嘱託殺人】

〘名〙 自殺関与罪の一種。被害者本人から、殺してくれるようにと積極的に頼まれて殺すこと。合意による心中もこれにあたる。普通の殺人罪より刑が軽い。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「嘱託殺人」の意味・わかりやすい解説

嘱託殺人
しょくたくさつじん

人の嘱託(依頼)を受けて、これを殺害する罪であり、6月以上7年以下の懲役または禁錮に処せられる(刑法202条後段)。自殺関与罪の一種である。これに対し、被殺者の意思に反して殺害する行為は刑法第199条の殺人罪である。そこで、これらの罪の区別にとって、「嘱託」の有無が重要になる。嘱託があるとするためには、被殺者が死の意味を理解したうえで、自らの自由意思により、明示的になされる必要がある。このような嘱託の要件を満たさなければ殺人罪にあたる。

 また、本罪に関連して、安楽死が問題となる。死期が迫り、死苦に直面している傷病者から、殺してほしいと真剣に頼まれた場合には、本罪にいう「嘱託」があるものと解しうるから、これに応じて傷病者の死期を早める行為は、嘱託殺人罪の構成要件には該当する。ただし、これが安楽死の要件を満たす限り、その違法性が阻却され、無罪となりうる。

[名和鐵郎]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

自動車税・軽自動車税

自動車税は自動車(軽自動車税の対象となる軽自動車等および固定資産税の対象となる大型特殊自動車を除く)の所有者に対し都道府県が課する税であり、軽自動車税は軽自動車等(原動機付自転車、軽自動車、小型特殊自...

自動車税・軽自動車税の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android