四夷(読み)シイ

デジタル大辞泉 「四夷」の意味・読み・例文・類語

し‐い【四×夷】

古代中国で、自国中華というのに対し、四方の異民族をさしていう語。東夷西戎せいじゅう南蛮北狄ほくてき総称
四方の服従しない民。
「武を以ては―の乱をしづむ」〈平治・上〉

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精選版 日本国語大辞典 「四夷」の意味・読み・例文・類語

し‐い【四夷】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( 「夷」はえびすの意 ) 古く中国で、四方の異民族をさしていう語。東夷、南蛮、西戎(せいじゅう)北狄(ほくてき)の総称。
    1. [初出の実例]「大鴻臚は知客のやうなものぞ。四夷の事をつかさどるぞ」(出典:史記抄(1477)一三)
    2. [その他の文献]〔書経‐大禹謨〕
  3. わが国では、四方の不順の国。周囲の敵。
    1. [初出の実例]「四夷傾耳。靡々然以聴陛下之風」(出典:本朝文粋(1060頃)四・為入道前太政大臣辞職第二表〈大江匡衡〉)
    2. 「夷狄の蜂起耳を驚し、逆乱の先表頻に奉す。四夷忽に起れり」(出典:平家物語(13C前)六)
    3. [その他の文献]〔孟子‐梁恵王・上〕
  4. 四方の未開の国。遠方の土地。
    1. [初出の実例]「討たる人に無罪ときは、討れたる者の子を四夷の地へ移して」(出典:政談(1727頃)四)

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普及版 字通 「四夷」の読み・字形・画数・意味

【四夷】しい

四方の異民族。東夷・南蛮・西戎・北狄。四貉(しばく)。〔左伝、昭二十三年〕古は天子守ること四夷に在り。天子(いや)しきときは、守ること侯に在り。侯守ること四に在り。しきときは、守ること四に在り。

字通「四」の項目を見る

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とっさの日本語便利帳 「四夷」の解説

四夷

漢民族のいう四方の異民族。▽東夷(とうい)、西戎(せいじゅう)、南蛮(なんばん)、北狄(ほくてき)

出典 (株)朝日新聞出版発行「とっさの日本語便利帳」とっさの日本語便利帳について 情報

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