四部叢刊(読み)しぶそうかん(英語表記)Sì bù cóng kān

改訂新版 世界大百科事典 「四部叢刊」の意味・わかりやすい解説

四部叢刊 (しぶそうかん)
Sì bù cóng kān

中国の叢書の名。張元済(1867-1959)編。経,史,子,集の4部にわたり,古典のうちとくによく使われるものを,できるだけ古く,かつすぐれた版本,写本等を材料として写真製版によるリプリントにして提供し,中国古典研究の標準テキストにしようとしたもの。初版は1919年,350種の書物を収めていたが,1929年重版のとき,初版に含まれていた〈正史〉類を除いたり,また同じ書物,あるいは同じ書物の一部であっても,よりすぐれたテキストがある場合には差し替えを行ったりして,現在321種,計8571巻を収める。1934年には続編81種,1936年までに三編73種が続刊され,すべて合わせて冊数3123冊にのぼる。以後しばしば縮冊その他のかたちで復印され,専門の研究者でこの叢書の恩恵をこうむらなかったものはいないだろう。むかしこれを備えることは蔵書家あかしでさえあったが,今日の日本ではより広範囲に普及している。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「四部叢刊」の意味・わかりやすい解説

四部叢刊
しぶそうかん
Si-bu cong-kan

中国の叢書。張元済らの編。3編 468種。上海商務印書館発行。初編は 323種で 1919年,続編は 75種で 34年,3編は 70種で 35~36年刊。商務印書館が蔵していた涵芬楼 (かんぷんろう) 蔵本をはじめ,各地の図書館,家蔵,さらに日本に存するものまで当時手に入る最上の版を集めるという方針で,経,史,子,集の4部にわたる主要な古典を選び影印 (写真印刷) して出版したもの。いったん出版した書でも,その後さらに善本が得られたときはあらためて2重に出版している。ただ古いテキストほど善本であるという立場をとっているが,後代のテキストは校訂が加えられているという点ではすぐれており,必ずしもこの叢刊の版が最上であるとは現在では考えられていない。また写真印刷の過程で勝手な修正を加えている個所もあると批判されるが,いずれにせよ民国になってのちの古典出版事業としては画期的なものである。

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世界大百科事典(旧版)内の四部叢刊の言及

【商務印書館】より

…張元済は早くから編訳所所長として編集に腕を振るい,おもに古典籍の整理復刻を行った。《続古逸叢書》(1919),《四部叢刊》(1920‐35),《百衲本二十四史》(1930),《四庫全書珍本》(1933),《叢書集成》(1935)などの大型出版はみな彼が手がけた。 また1921年編訳所所長に就任した王雲五は西洋文化に詳しく,おりからの新文化運動の波にのり業績を伸ばし,28年には〈四角号碼〉という画期的な漢字検索法を考案して辞書類に大改革を加え《王雲五大辞典》を出版,また洋の東西の名著を集めた《万有文庫》(1929)を編集出版した。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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