改訂新版 世界大百科事典 「四酸化オスミウム」の意味・わかりやすい解説
四酸化オスミウム (しさんかオスミウム)
osmium tetroxide
化学式OsO4。酸化オスミウム(Ⅷ)ともいう。オスミウムの粉末を酸素気流中で赤熱するか,オスミウム化合物を酸化すると得られる。無色ないし淡黄色針状晶。融点40.6~40.7℃,沸点131.2℃,比重4.906(22℃)。常温で揮発性,気体は単分子から成る。特異な強い臭気をもつ。水素と混合して赤熱した管中を通すと容易にオスミウムに還元される。水,アルコール,エーテル,四塩化炭素,ベンゼンなどに溶ける。水に対する溶解度6.23g/100g(25℃)。強い酸化剤で,種々の物質を酸化し,自身は還元されて酸化オスミウム(Ⅳ)または金属オスミウムとなる。酸化剤としてとくに有機化学反応によく用いられる。俗にオスミン酸とよばれ,顕微鏡観察のための固定剤として用いられる。蒸気は有毒で,粘膜を強く刺激し,眼や呼吸器に有害であり,また皮膚から直接体内に浸透するからたいへん危険である。
執筆者:近藤 幸夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報