国債市場特別参加者(読み)こくさいしじょうとくべつさんかしゃ

共同通信ニュース用語解説 「国債市場特別参加者」の解説

国債市場特別参加者

国債入札特別参加者 国債の安定消化のため、国債取引で実績のある大手金融機関に対して特権的な地位を与える代わりに、国が実施する国債入札で一定額の応札落札を義務づける制度プライマリーディーラーとも呼ばれる。かつてはシンジケート団と呼ばれる銀行証券会社が引き受ける方式主体だったが、2004年から欧米を参考に、透明性を高めた現在の制度に移行した。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「国債市場特別参加者」の意味・わかりやすい解説

国債市場特別参加者
こくさいしじょうとくべつさんかしゃ

日本の財務省が国債取引で実績のある大手金融機関に与える特別な資格。国債の安定消化や国債市場の流動性向上のため、欧米主要国の制度を参考に、財務省が2004年(平成16)10月に導入した。アメリカのプライマリー・ディーラー制度にちなみ、日本版プライマリー・ディーラーともよばれる。財務省が開催する国債市場特別参加者会合に参加し、財務省が検討する新しい仕組みの国債や制度について意見交換ができる。また有利な価格(平均価格)で国債購入が確約される国債非価格競争入札に参加し、発行予定額の20%まで有利な価格で購入できる。このほか資格保有者限定の国債買入消却入札、国債流動性供給入札(国債の流動性を保つため、財務省が品薄になった銘柄を追加発行する制度)に参加できる利点もある。さらに元本と金利部分を分離できるストリップス債の分離・統合の申請や、金利スワップ取引で優先的な取引相手となることもできる。一方、資格保有者はすべての国債入札で発行予定額の5%以上を応札し、短期国債で0.5%以上、中期・長期・超長期国債では1%以上の落札を義務づけられている。また、国債取引に関する情報を財務省に提供し、国債市場に十分な流動性を提供する義務を負う。

 2017年8月時点で、国債市場特別参加者の資格をもつのはメガバンク2行(みずほ銀行、三井住友銀行)と証券会社19社(SMBC日興(にっこう)証券、岡三(おかさん)証券、クレディ・アグリコル証券、クレディ・スイス証券、ゴールドマン・サックス証券、JPモルガン証券、シティグループ証券、ソシエテ・ジェネラル証券、大和(だいわ)証券、ドイツ証券、東海東京証券、野村証券、バークレイズ証券、ビー・エヌ・ピー・パリバ(BNPパリバ)証券、みずほ証券、三菱(みつびし)UFJモルガン・スタンレー証券、メリルリンチ日本証券、モルガン・スタンレーMUFG証券、UBS証券)である。日本銀行のマイナス金利政策の影響で、国債を保有し続けると損失が発生しかねないため、三菱東京UFJ銀行は2016年7月、国債市場特別参加者の資格を返上した。リーマン・ブラザーズ証券のように破綻(はたん)やリストラで資格を返上した外資系金融機関はあったが、日本の金融機関の資格返上は初めてである。

[矢野 武 2017年12月12日]

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