国家目標(読み)こっかもくひょう

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

国家目標
こっかもくひょう

国家目標とは、国家が行動する際の一般的で持続的な目的をさす。それは政策決定に影響をもつ人々の相互作用の所産として選択されてくるが、国家の力、統治体制、他の国家に対する依存度といった多くの要因から、国家を取り巻く自然的、地政学的条件や歴史的条件まで多くのものに規定されるために、選択の範囲は無限ではない。ただし、基本的な選択目標としては一般的に、領土保全や安全保障といったものから、国民福祉の向上、文化価値の維持などがあげられよう。
 これら国家目標は、追求・達成するうえでの時間の幅を設定することで、短・中・長期目標として分類できるが、それはまた、より具体的目標から、抽象的、あいまいなものへの移行を表している。たとえば、日本においては、まず現存する経済水準の維持や国民生活の向上などが短期目標とされるならば、中期のそれには国家的脅威の減殺、市場・資源の確保、国際社会における威信確保など、そして長期のそれには世界平和の確立といった目標が想定できよう。今日、日本の政策決定者たちによって主張される目標には、国際政治・経済の安定化に、おもに日本が保持する経済力を通して貢献するといったことがあるが、その目標は短・中・長期の各目標と密接なかかわりをもっており、その意味でも、明確な時間的枠を設定するのはむずかしい。かりにそれが可能であっても、短期目標の追求が中・長期のそれを妨げることもあり、首尾一貫した目標の設定はむずかしいといえる。[青木一能]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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