日本大百科全書(ニッポニカ) 「国立女性教育会館」の意味・わかりやすい解説
国立女性教育会館
こくりつじょせいきょういくかいかん
独立行政法人国立女性教育会館法(平成11年法律第168号)に基づいて2001年(平成13)4月に設立された文部科学省所管の独立行政法人。日本で唯一の女性教育に関するナショナルセンターで、英語のNational Women's Education Centerの頭文字から略称NWECヌエック。前身は1977年(昭和52)に設立された国立婦人教育会館で、2001年1月に国立女性教育会館と改称した。所在地は埼玉県比企郡嵐山(らんざん)町。
会館の目的は「女性教育指導者その他の女性教育関係者に対する研修、女性教育に関する専門的な調査及び研究等を行うことにより、女性教育の進行を図り、男女共同参画社会の形成に資すること」であり、以下の機能を有する。(1)研修(男女共同参画社会の形成を目ざした、女性の自発的学習を促進)。(2)交流(国内外の女性教育・家庭教育、女性問題に関心をもつ人のネットワーク化を促進)。(3)情報(男女共同参画および女性・家庭・家族に関する情報および資料を収集・整理して提供)。(4)調査研究(女性教育・家庭教育、女性情報に関する専門的な調査および研究)。また、女性情報ポータル「Winet(ウィネット)」での会館作成データベースおよび関係機関データベースの横断検索機能やインターネット上の有用な女性情報リンク集の提供、定期刊行物や報告書等の出版なども行っている。会館施設として、研修・宿泊施設のほかに、女性アーカイブセンター(非公刊の記録資料の閲覧・展示)、体育館やテニスコート、茶室などもある。
2022年(令和4)に国は女性教育会館の所管を文部科学省から、男女共同参画を扱う内閣府に移し、機能強化に向けて改組する方針を打ち出した。さらに翌2023年末には建物の老朽化などを理由として、早ければ同年度中に会館を閉鎖し、機能を都心部に移す方針を地元に伝えた。一方、地元町議会は会館の存続などを求める意見書を全会一致で採択、県にも協力を要請しており、2024年1月時点で結論は出ていない。
[編集部 2024年3月19日]