国見岳・天狗山(読み)くにみだけ・てんぐやま

日本歴史地名大系 「国見岳・天狗山」の解説

国見岳・天狗山
くにみだけ・てんぐやま

立山火山の火口壁を形づくる北側の峰々の西端にそばだつ。天狗山(二六〇〇メートル)、その東に国見(二六二一メートル)室堂むろどう(二六六八メートル)と連なり、立山連峰主稜の浄土じようど山に続く。これらの峰々の北面は高山植物が密生した大斜面となって天狗平・室堂平の高原に臨むが、南面は旧火口の湯川ゆかわ谷に向かって急峻に切れ立ち、火山質の土砂を露出して脆弱である。古絵図ではすべて西の峰を国見岳、東の峰を天狗平と記載しているが、明治以後誤って西の峰を天狗山、東の峰を国見岳とし、この誤称が定着した。西端の峰は富山平野を眼下に見下ろして国見の称にふさわしく、東の峰は室堂に近く、室堂で、古来深夜に天狗倒しの怪音を聞くと恐れられていた伝承とも符合し、古称の正しいことは明白である。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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