放射線が及ぼす人体や環境への影響を調査・報告する国際連合の委員会。略称、UNSCEAR(アンスケア)。日本語での正式名称は「原子放射線の影響に関する国際連合科学委員会」。アメリカやソ連が核実験を繰り返し、放射性物質の影響が懸念された1955年に、国連総会で満場一致で設立が決議された。事務局は当初ニューヨークに置かれ、1974年にオーストリアのウィーンに移った。アメリカ、ソ連、日本など加盟15か国で発足し、2014年(平成26)8月時点での加盟国数は27か国である。毎年1回、年次総会を開催する。委員会メンバーは放射線や原子力の専門家で、国連加盟国から各国の自然・人工放射線のレベルや健康への影響データを収集・集約して定期的に国連に報告し、報告書を刊行。また、アメリカのスリー・マイル島原子力発電所事故(1979)やソ連(現、ウクライナ)のチェルノブイリ原子力発電所事故(1986)のほか、CT検査など医療行為における放射線の人体への影響などについても報告書をまとめている。放射線被曝(ひばく)に関してもっとも権威があり、信頼できる国際機関とされており、その報告データは、放射線研究だけでなく各国・地域の行政に幅広く利用されている。
2014年、UNSCEARは「2011年東日本大震災後の原子力事故による放射線被ばくのレベルとその影響」という報告書を発表した。それによると、今後、東京電力福島第一原子力発電所事故で生じた放射線被曝によるがんや遺伝性疾患の発生率に識別できるような変化はなく、出生時異常の増加もないと予測されている。
[編集部]
…また,くり返される核実験で成層圏まで吹き上げられた放射性物質が,全世界に危険な効果をもたらすことがしだいに明らかとなってきた。56年国連は〈放射線影響科学委員会〉(通称,国連科学委員会)を設けてこの問題の検討を続けた。この委員会が77年の国連総会に提出した報告書によれば,76年までに行われたすべての核実験によって,約145Mtの威力の核分裂で生じた放射性物質を地球全体に拡散したと推定している。…
※「国連科学委員会」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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