国際会計(読み)こくさいかいけい(英語表記)international accounting

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「国際会計」の意味・わかりやすい解説

国際会計
こくさいかいけい
international accounting

近年,企業活動は一段と国際化の傾向を強めているが,国境を超えて行なわれる企業活動に関連する会計を国際会計という。主要な領域は,(1) 外国子会社などの会計,(2) 国際比較会計,(3) 会計基準の国際的調和化の3つに要約される。第1に,企業が国際化の一環として海外直接投資を行ない,外国に支店や子会社を持つようになると,その子会社などについては現地通貨で財務諸表が作成され,それを本国通貨に換算した上で,本国の財務諸表と合算することになるため,換算で使用すべき為替レートや換算差損益の取り扱いが問題となる。このため金融庁の企業会計審議会は,企業が準拠すべき会計基準として「外貨建取引等会計処理基準」を制定している。第2に,外国の資本市場から資金を調達した企業は,外国の株主や債権者に財務諸表を提供しなければならないが,それは外国通貨で表示するだけでなく,外国の会計基準に従って作成しなければならないこともある。このため各国の会計基準と,実務の調査や比較研究も国際会計の重要な領域である。しかし国際間の資本取引がよりいっそう活発化するに伴い,会計基準の国際的な調和を促進することが第3の問題として重要視されてきた。 1973年に創設された国際会計基準委員会が作成している国際会計基準が,その代表的な例である。このほか EU理事会OECD国連などによる会計基準の国際的調和化のための努力が注目される。

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世界大百科事典(旧版)内の国際会計の言及

【会計学】より

…財務会計と制度会計とはほぼ一致するといってよいが,前者は会計基準や会計法規に準拠することなく行われる部分を含むので,後者よりも若干範囲が広いと考えられている。(6)国際会計 最近,国際間の取引や国際投資が増加し,国際的企業が出現し,経済の地域主義が推し進められるにつれて,これまで一国内において作成され,その利用もほとんどその国内に限られていた企業会計情報が,国際的に利用される必要が生ずるにいたった。このような傾向に対応して,企業会計制度の国際的比較研究を行い,さらに国際会計基準を設定することを課題とする国際会計論の研究がきわめて活発になってきている。…

※「国際会計」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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