国際金融取引の自由化(読み)こくさいきんゆうとりひきのじゆうか(その他表記)liberalization of international financial transactions

知恵蔵 「国際金融取引の自由化」の解説

国際金融取引の自由化

1944年のIMF協定では、経常取引に関して為替取引の自由化を目標にしていたが、資本取引にまで適用することは見送られていた。ところが80年代に国際資本取引に対する為替管理が相次いで撤廃され、この措置が「自由化」を制度的に保障することになった。英国は79年に居住者の為替管理を撤廃し、日本は80年の外国為替管理法の改正で「原則禁止」から「原則自由」になった。こうした変化はブレトン・ウッズ体制、それに続くスミソニアン体制のような固定相場制が崩れ、資本移動規制する必要性がなくなったことに基本的な原因がある。73年の変動相場制への移行からやや時間がかかったのは、その間に2度の石油危機があったことによる。ただ、変動相場制に移行したといっても、しばしば相場を一定水準に安定させること(管理変動相場制)が図られ、外国為替市場への介入と併せて、国際金融取引に規制が課せられることも少なくない。

(石見徹 東京大学教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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