日本大百科全書(ニッポニカ) 「土木研究所」の意味・わかりやすい解説
土木研究所
どぼくけんきゅうじょ
土木技術に関する試験研究を行う国土交通省所管の国立研究開発法人(独立行政法人)。英語名はPublic Works Research Institute、略称はPWRI。「国立研究開発法人土木研究所法」(平成11年法律第205号)を根拠法とする。本部の所在地は茨城県つくば市南原(みなみはら)。2006年(平成18)4月に土木研究所と北海道開発土木研究所が統合し、新たに国土交通省所管の独立行政法人土木研究所となり、2015年4月、国立研究開発法人に移行した。統合前の土木研究所は、1921年(大正10)に設置された内務省土木局の道路材料試験所に始まり、1948年(昭和23)建設省土木研究所、2001年(平成13)1月に国土交通省土木研究所となり、同年4月に独立行政法人となった。一方、北海道開発土木研究所は、1937年(昭和12)内務省北海道庁土木部管理課土木部試験室に始まり、1947年(昭和22)に北海道土木試験所、1988年に開発土木研究所と改称、2001年4月に独立行政法人北海道開発土木研究所となった。
土木研究所は「土木技術に関する調査、試験、研究及び開発並びに指導及び成果の普及等を行うことにより、土木技術の向上を図り、もって良質な社会資本の効率的な整備及び北海道の開発の推進に資する」ことを目的とする。これを達成するための五つの研究部門を有する。(1)つくば中央研究所(所在地は本部と同じ)。土木に関する先端技術の研究、河川・道路などの土木技術の開発など、国の国土交通政策にかかわる任務を遂行する。(2)寒地土木研究所(札幌市豊平(とよひら)区平岸(ひらぎし))。北海道の過酷な気象条件や泥炭層の軟弱地盤などを考慮した開発行政に関する調査、研究を行う。(3)水災害・リスクマネジメント国際センター(本部と同じ)。水関連災害を世界的視野で研究するため、ユネスコ(国連教育科学文化機関)の後援のもとで設立された。(4)構造物メンテナンス研究センター(本部と同じ)。道路橋の維持管理技術の高度化、災害時復旧の迅速化など、安全管理のための構造技術にかかわる研究を行う。(5)先端材料資源研究センター(本部と同じ)。先端的材料の実用化、土木材料の耐久性向上、廃棄物の有効利用、エネルギー使用の効率化など、土木構造物の効果的な維持更新と低炭素循環型社会の構築にかかわる調査・研究を行う。
[編集部 2017年11月17日]