在外資金(読み)ざいがいしきん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「在外資金」の意味・わかりやすい解説

在外資金
ざいがいしきん

その国全体で保有している外貨資金のこと。具体的な保有者は、政府、中央銀行、外国為替銀行貿易商社などである。

 金本位制の時代には、政府と中央銀行が保有する金または金と交換可能な海外にある資金をとくに在外正貨とよんでいたが、管理通貨制度の導入によって、銀行券発行の見合い資産としての正貨準備という概念はなくなり、この種の資金は在外資金という用語に一括されるようになった。

 為替管理が厳しかった第二次世界大戦後の日本では、外貨集中制度が採用されており、外貨は政府あるいは中央銀行に強制的に集中され、それ以外は保有を認められないため、在外資金は外貨準備を運用するために政府、中央銀行が保有するTB財務省証券)等の外国政府短期証券、外貨預金などのみであった。しかし、1972年(昭和47)の外貨集中制度の廃止、1980年の外貨預金の自由化、1998年の為替管理の撤廃というように、為替管理が緩和されるにつれて、外国為替銀行や貿易商社など民間部門の保有が認められるようになった。したがって、在外資金は幣種によってドル資金、ポンド資金などに分かれ、資産の形態としては外貨預金のほか国際金融市場へのコールローン、外国政府短期証券、再割引手形などがあるといえる。ただし、国内の外国為替銀行に巨額の外貨預金が保有されている今日では、在外資金という用語自体が一般に使用されなくなっている。

[土屋六郎・中條誠一]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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