為替(かわせ)管理の一方法で、貿易業者などが輸出その他によって取得した外貨を法律によって政府あるいは外国為替銀行に集中する制度。もっとも厳しいのは全面集中制であり、外国為替銀行や商社などが取得した外貨はすべて政府に集中させる。その際、業者が必要とする外貨は、順位をつけて割り当てられる。為替管理が緩和されるにしたがい、外国為替銀行、商社、海運会社、保険会社などに一定の枠内で外貨の手持ちを認め、その運用を許す持高集中制へ移行する。日本では第二次世界大戦後、外貨が乏しかったので全面集中制がとられていたが、1952年(昭和27)に緩和されて持高集中制へ移行した。さらに外貨準備高の増加により、72年5月には外貨集中制度の廃止に踏み切ったが、外国為替銀行に対しては、より緩やかな持高規制が実施された。
[土屋六郎]
1998年(平成10)外国為替業務を自由化する「外国為替及び外国貿易法」(外為法)の改正が行われ、外国為替銀行の制度も廃止となり、同時に持高規制もなくなった。
[編集部]
為替管理の一方式。国際収支上の理由から,通貨当局が外国為替取引に厳格な管理を行って,対外決済手段である外貨の集配機構を営む場合,多くの国は,その国の輸出業者などが受け取った外貨を一定期間内に外国為替銀行ないし通貨当局に売り渡す義務を課している。これを外貨集中制度と呼び,その集中の程度の強弱によって通常次の三つに大別される。(1)全面集中制 すべての受取り外貨を通貨当局に売り渡すことを義務づける制度。(2)持高集中制 一般居住者の外貨保有は原則として認められず,外国為替銀行のみにそれが認められるが,その場合も売買を相殺した後の外貨持高に限度が設けられる制度。(3)部分集中制 一般居住者にも一定の限度で外貨の保有が認められる制度。通常この場合,居住者に外貨預金勘定の保有が認められ,その勘定の残高に制限が課せられる。日本における外貨集中制度およびその廃止過程については〈外貨預金〉の項を参照されたい。
→為替管理
執筆者:河西 宏之
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…通常,単にドルという場合はアメリカ合衆国の通貨,すなわち米ドルAmerican dollar(またはUS dollar)を指す。ドルはアメリカに所在する政府機関または金融機関が発行する短期債務のうち,通貨として通用するものをいう。これら短期債務とは,連邦準備銀行券(日本銀行券に相当),財務省証券,アメリカ国内の民間銀行における預金等のことである。ドルはアメリカ国内における国内通貨であり,また同時に世界において現在最も重要な国際通貨である。…
※「外貨集中制度」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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