一般に自国の銀行に預けられた外貨建ての預金をいう。このような外貨資産は,国際取引の決済手段として用いられるため,対外決済手段が不足する国においては,厳格な為替管理のもとで外貨集中制度がとられ,一般の居住者には外貨預金の保有が禁止されることが多い。第2次大戦後日本においては,居住者が取得した外貨(外国為替)はすべて為替銀行を通じて通貨当局に売り渡すことが義務づけられていたが,1952年6月以降外国為替銀行に外貨保有が認められ,その後56年1月から商社等が,60年4月からは運輸会社,保険会社,証券会社が,それぞれの国際業務の必要上外貨預金を保有することが認められた。個人を含むすべての居住者に外貨預金を保有することが認められたのは78年以降で,この〈居住者外貨預金一般勘定〉制度のもとでは,300万円を限度として,日本の為替銀行の1外為取扱店舗に限り外貨預金を自由に開設することが可能となった。80年12月に施行(1979年12月公布)された新〈外為法〉(外国為替及び外国貿易管理法)のもとでは,平常時において居住者が国内の為替銀行に外貨預金をもつことは金額のいかんを問わず自由となった(ただし,その払出しは合法的な支払いに充てる場合に限られる)。このほか,外貨預金には,居住者が海外の銀行に預けるものと,外国の非居住者が日本の銀行に預ける〈非居住者外貨預金〉があり,80年施行の外為法のもとでは,前者は大蔵大臣の許可を必要としたが,後者は自由であった。その後97年改正の外為法(1998年4月施行)により,為替管理が自由化され,前者も自由となった。
→外国為替及び外国貿易法 →為替管理
執筆者:河西 宏之
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アメリカドル、ユーロ、オーストラリアドルなど外国通貨建ての預金の総称。日本の金利が主要国のなかで相対的に低いため、金利差を期待できるうえ、外国為替(かわせ)相場で円安・外貨高が進む局面では、円に換算した元本が増え、為替差益を見込める。逆に預金時より円高が進むと、為替差損が生じるリスクがある。
1998年(平成10)の金融ビッグバンで外国為替法が改正され、大手銀行のほか地方銀行、信用金庫、農協、外国系銀行の在日支店などあらゆる金融機関が扱えるようになった。円預金と同じく普通預金と定期預金がある。外貨に預け入れる場合と、円に戻す場合の両方で為替手数料がかかる。近年、外貨預金より手数料が安い外国為替証拠金取引へ資金が流れたが、2008年の世界金融危機後、外貨預金を敬遠する動きが広がった。外貨預金は預金保険制度の対象外であるため、ペイオフが実施された場合、預金元本が保証されないケースがある。
[編集部]
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(重川純子 埼玉大学助教授 / 2007年)
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