漁村で地下,すなわち村が共同で経営した網漁業で,村張り網と同義。江戸時代に一般地域では直接生産者が広範に独立して本百姓となったが,そのような地域の漁村においては総百姓共有漁場が広く成立した。ここで営まれた大規模な網漁業のなかには,村中の総百姓の共同経営である地下網が少なくなかった。必要とする相当量の資材,資金,労働力などから考えて,その形態が自然だったためであろう。百姓間の経営参加の内部関係は地域によって差があり,総百姓平等参加,平等分配もあれば,各百姓の百姓株に応じて若干の分化がみられる参加,あるいは各百姓の持高に比例した参加などがあった。地下網の参加者は本百姓層のみであり,水呑百姓層は無権利で労働力を買われただけであった。明治末期以降,この形態は崩れ始めた。
執筆者:二野瓶 徳夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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