地中海料理（読み）ちちゅうかいりょうり

百科事典マイペディア

地中海料理【ちちゅうかいりょうり】

地中海沿岸地域の料理文化，食文化の総称。イタリア料理，ギリシア料理，スペイン料理，モロッコ料理が，2010年，〈地中海の食事〉としてユネスコ世界無形文化遺産に登録された。ユネスコは，〈地中海の食事は，その景観から食卓にいたるまで，作物の栽培と収穫，漁猟，保存，調理，食事に関する知識，技術，伝統の集合である〉と定義している。〈地中海の食事〉を無形文化遺産に登録したのはイタリア，ギリシア，スペイン，モロッコの４ヵ国だが，キプロス，トルコ，ポルトガル，レバノンなどの地中海沿岸部にもこの４ヵ国の食文化と共通するものがある。地中海料理とは特定の国の料理ではなく地中海沿岸地域に共有されている料理文化・食文化と理解すべきである。すなわちオリーブオイル，ワイン，魚介類，トマト，ニンニク，唐辛子，パセリやコリアンダーなどのハーブ類，小麦などの穀物を多用する特徴的な食事文化である。さらにその食事文化に加えて，地中海沿岸地域の温暖な風土とライフスタイルが良好な健康をもたらすことが科学的に証明されている点も重要とされる。ただし共有とは別に，それぞれまったく異なる料理と食事文化を発展させてきた歴史があることもこの地域の特色で，モロッコ料理はもちろんイタリア料理，ギリシア料理，スペイン料理のそれぞれに他に見られない独自の調理法と料理と美食の伝統がある。2013年には2010年に登録された４ヵ国に加えてキプロス，クロアチア，ポルトガルが追加登録された。
→関連項目無形文化遺産保護条約

出典　株式会社平凡社