地籍測量(読み)ちせきそくりょう(その他表記)cadastral survey

日本大百科全書(ニッポニカ) 「地籍測量」の意味・わかりやすい解説

地籍測量
ちせきそくりょう
cadastral survey
cadastration

それぞれの土地区分(これを一筆地(いっぴつち)という)ごとにその位置、面積形状測量し、さらに所有者名などまで調査する測量作業。近代国家では各個人に戸籍があるように、各筆にも地籍を必要とする。

 測量技術は5000年前のエジプトから、まず地籍測量のために発達してきたともいえるが、近代的な地籍測量はフランスナポレオンが近代国家の基礎として始め、ヨーロッパ、アメリカ各国をはじめ、今日ではほとんど世界中の各国でもっとも重要な測量として実施されている。日本でも第二次世界大戦後に国土調査一環として地籍測量が開始された。

[尾崎幸男 2016年11月18日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「地籍測量」の意味・わかりやすい解説

地籍測量
ちせきそくりょう
cadastral survey

地籍調査ともいう。土地登記のために必要な所有者,地番,地目の調査や境界地積 (水平面上に投影した土地の面積) の測量。調査の結果は1筆ごとに整理され,地籍簿と地籍図となる。境界と地積の測量だけをさして地籍測量といい,地籍調査と区別することもある。測量の方法には,地上法 (三角測量多角測量平板測量など) と航測法 (写真測量) ,航測併用法などがあり,日本では地上法と航測併用法が行われている。日本の地籍測量は四等三角点 (国土調査法では基準三角点) をもとに行われ,精度によって甲1,甲2,甲3,乙1,乙2,乙3の6種類に分れ,それぞれの作業方法が準則で定められている。

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世界大百科事典(旧版)内の地籍測量の言及

【測量】より


[長さ]
 距離測定は三角測量などの角測定に長さを与えるものとして重要な量であり,角度測定よりも古い歴史をもつものであるが,経緯儀の改良などに伴い角測定の精度が高まるにつれ,一部の例外を除き精密測量には用いられなかった。すなわち,比較的精度の低い工事用測量,地籍測量などには鋼巻尺等の尺物が広く用いられていたが,国家基準点のように高い精度の位置が必要な場合には角測量による三角測量方式が採用されてきた。しかし,1940‐50年代における電子工学の発達に伴う電磁波測距儀の開発は距離測量の分野に大変革をもたらし,その測定の容易さ,正確さから,三辺測量やトラバース測量が従来の三角測量にとってかわるようにもなった。…

※「地籍測量」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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