土地の位置・形質および所有関係を明らかにする制度。土地はそれ自体としては連続的なものであるが,取引の対象とする場合には,これを区画して,それぞれの土地(その一単位を一筆(いつぴつ)という)の物理的・法的状態を明確に示しておく必要がある。そのための制度が地籍である。具体的には,土地の一筆ごとに地番が付され,地目(土地の主たる用途による区分。田,畑,宅地,塩田,鉱泉地,池沼,山林,牧場,原野,墓地,境内地,運河用地,水道用地,用悪水路,ため池,堤,井溝,保安林,公衆用道路,公園および雑種地に分けられる),地積(土地の面積),所在地とともに土地登記簿の表題部に記載され,また,甲区欄には所有者が記載される(不動産登記法15,16,78,79条)。これらの事項は,かつては土地台帳に登録されていたが,1960年の法改正によって不動産登記簿に吸収・一元化された。
→地籍図 →不動産登記
執筆者:黒田 満
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
土地の戸籍にあたるもの。元来、土地はつながっているものであり、それを数えることはできない。しかし、土地が所有の対象となり、取引の対象となるときに、土地は人為的に区分される。その区分された土地(一筆、二筆と数える)の位置・形質・所有関係を総称して地籍という。土地の登記簿には、一筆ごとに地番がつけられ、その地目・地積(面積)・所在地とともに、所有者が記載されるから、それによって地籍が明らかにされる。
[高橋康之・野澤正充]
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