地被,カバープラントともいい,地表を低く覆う性質をもち,造園上は下草などに用い,また裸地の緑化用などに使われる植物をいう。形態から,草丈低く地表または半地下を横走する茎をもつ匍匐(ほふく)型,つるが広がるつる型,地際近くで多くの分茎を生ずる叢生型などがある。また日陰などにも使うために耐陰性の強い種類が多い。使用場所には庭園下層部をはじめ,街路,構造物の表面,岩壁など緑化困難な個所などがある。平面を覆うほかに,つる性植物は壁面などにも用いるが,支柱,網状物が支持用に使われる。花,葉,草型の美しい種類は観賞用にも供する。
一般によく使われる種類は,草本ではコケ類,シダ類,ササ類,芝草類,クローバー類,ダイコンドラ(アオイゴケの変種)など,木本ではハイネズなどの匍匐性針葉樹があり,樹陰などに用いる耐陰性が強い種類に,草本のジャノヒゲ,シャガなど,木本のフッキソウ,ヤブコウジなどがある。
執筆者:北村 文雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報