元来は植物を播種(はしゆ)または植栽することをいい,ある場所に緑を造成することをさすが,今日ではさらに広い意味に使われている。すなわち,緑の保全も含めて緑豊かな区域を整備すること,さらにそのための計画や設計も加わった総合的なものをいうこともある。またその対象も陸上に限らず,さらに水域をも含めるという考え方もある。緑化を行う対象は,緑がないかきわめて少なく,緑を必要としている場所であり,それぞれその対象の名をとって,工場緑化,都市緑化,のり面緑化,埋立地緑化,砂漠緑化などといわれる。緑化の目的は,環境・景観の改善が中心となるが,さらに防風・防火など防災効用や,都市などでは精神的効用も考えられる。大規模工事の結果生じた裸地の緑化は防災効用の比重が高まる。緑化を行うには,場所,使用植物,方法について十分検討する必要がある。使用植物は,性質強健,環境適応性大,生長旺盛,種苗入手容易,使用適期の広いものが使いやすく,形状が美しく,観賞価値が高ければさらによい。植栽場所は緑化困難地が多く,植物が生育しやすいように基盤を安定にし,土壌改良,防風,水処理を必要とすることが多い。緑化を成功させるには,植物の選定,地盤の改良,さらにその後の適切な管理が必要条件である。
緑化施工・管理に関する技術を緑化技術といい,緑化用植物・資材の生産,施工・管理に関係する産業を総称して緑化産業という。
執筆者:北村 文雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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