ハイネズ(読み)はいねず

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハイネズ」の意味・わかりやすい解説

ハイネズ
はいねず / 這杜松
[学] Juniperus conferta Parl.

ヒノキ科(分子系統に基づく分類:ヒノキ科)の常緑低木。砂浜に生え、茎は砂上をはい、四方に広がる。幹は灰黒色、枝は淡褐色をなす。葉は三枚輪生して枝に緻密(ちみつ)につき、針形で手に触れると痛い。雌雄異株。4~5月、開花する。雄花は短枝上の葉腋(ようえき)につき、楕円(だえん)形で黄褐色、葯(やく)から黄色の花粉を出す。雌花は楕円形で緑色、厚質の三心皮からなり、おのおの内側に胚珠(はいしゅ)が2個ある。果実球形、液果状で、翌年の9~10月に紫黒色に熟し、やや白い粉を吹く。海岸砂地に生え、北海道から九州、および樺太(からふと)(サハリン)に分布する。海岸砂防用に使い、庭木ともする。

[林 弥栄 2018年6月19日]

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百科事典マイペディア 「ハイネズ」の意味・わかりやすい解説

ハイネズ

ヒノキ科の常緑低木。日本全土の海岸砂地にはえる。ネズに似ているが幹は四方に枝分れして地をはう。葉は3本ずつ輪生,針形で硬く,先がとがって,触れると痛い。雌雄異株。4〜5月,前年の枝に1個の花をつける。雄花は楕円形黄褐色,雌花は卵円形緑色。果実は球形で,翌年9〜10月紫黒色に熟す。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ハイネズ」の意味・わかりやすい解説

ハイネズ
Juniperus conferta

ヒノキ科の常緑低木で,北海道から九州までの海岸の砂地にはって大群落をなす。葉は枝上に密集し,3出輪生,剛質先端は鋭利であるが,変化が多い。雌雄異株。花は4月頃に開き,雄花は楕円形黄褐色,雌花は卵円形緑色,厚質の3心皮から成る。球果は大きく長さ 9mm,径 8mmぐらいで,精油ピネンなどを含み,利尿発汗剤としてネズの球果同様に用いられる。

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世界大百科事典(旧版)内のハイネズの言及

【ネズ】より

…ネズミサシ属は北半球に約15種があり,ビャクシン属Sabina約45種をこれに含めることもある。日本には,九州以北サハリンまでの海岸に生える匍匐(ほふく)性のハイネズJ.conferta Parl.,本州北部の高山に生える低木性のミヤマネズJ.communis L.var.nipponica (Max.) Wils.と北海道の高山からシベリアにかけて分布するリシリビャクシンvar.saxatilis Pall.があり,両変種の母種セイヨウネズ(英名common juniper)は北半球に広く分布し,幹が立って,ときに高さ6~7mに達する。その球果を入れた蒸留酒がジンである。…

※「ハイネズ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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