世界各地で対人地雷廃絶運動を展開する非政府組織(NGO)の連合体。略称ICBL。「地雷の製造・貯蔵・使用・移譲などを全面禁止する対人地雷禁止条約」(オタワ条約)の採択に主導的役割を果たした功績で、1997年のノーベル平和賞を受賞した。受賞は同キャンペーン代表であったアメリカ人市民運動家ジョディ・ウィリアムズとの共同受賞である。
「ベトナム戦争退役軍人アメリカ基金」「地雷被害者ネットワーク」「ハンディキャップ・インターナショナル」「人権のための医師団」など人道、人権、難民保護、医療関係の六つの非政府組織によって1992年、対人地雷全廃に向けた国際世論を喚起するため結成された。本部をスイスのジュネーブに置く。2011年にはクラスター爆弾の保有・使用の禁止を目ざすNGOネットワーク「クラスター兵器連合」(CMC:Cluster Munition Coalition)と統合し、2014年末時点で世界の100か国を超える約1000の非政府組織が加盟している。1999年のオタワ条約発効を機に、地雷禁止国際キャンペーンは毎年、世界の地雷被害状況などをまとめた年次報告書「地雷モニター報告Landmine Monitor Report」を公表している。2014年版報告では、世界の2013年の地雷や不発弾による死傷者数は3308人と前年比25%の減少で、オタワ条約発効以降で最少となったとしている。しかしアフガニスタン、シリア、ミャンマー、コロンビアなどでは新たに地雷が敷設されているほか、世界全体の地雷による死傷者の79%を一般市民が占め、その半数近くが子供であると報告。このため地雷禁止国際キャンペーンは過去に埋設された地雷の早期撤去と同時に、アメリカ、中国、ロシアなど未加盟国へのオタワ条約加盟を強く働きかけている。
[矢野 武 2015年7月21日]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
(最上敏樹 国際基督教大学教授 / 2007年)
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