日本大百科全書(ニッポニカ) 「型模様」の意味・わかりやすい解説
型模様
かたもよう
型を使って表したプリント模様。型は主として木型と紙型とに分かれ、模様を一定の形にそろえたり、反復したり、量産したりする際に使われる。日本におけるもっとも古い型模様として奈良時代のきょう纈(きょうけち)、摺絵(すりえ)をあげることができるが、技術的には不明な点が多い。平安時代になると摺絵の一種である蛮絵(ばんえ)が流行する。これは凸型に墨をつけて押した一種のスタンプ模様であるが、当時ほかにみるべき模様染めがなかったため、かなり用いられたものらしい。なお当時の料紙の刷り模様にも、同様な手法の使用されたものがみられる。そのうちとくに四天王寺の扇面写経の料紙は、型をいろいろ組み合わせて押して下絵をつくり、これに手彩色したものである点、興味深い。板のかわりに厚紙を用い、これに模様を切り透かして直接染めると、模様がシルエットとなって現れるし、防染剤を使って染めるとネガティブに模様を白く染め抜くこともできる。この手法を応用したものが染革(そめかわ)で、平安時代以後の甲冑(かっちゅう)に多くみいだされる。こういった紙型に、堅牢(けんろう)な、ごく薄手の材料を使うようになると、切り透かす技術が容易になり、自然と模様は細かく密度の濃いものとなる。こうして摺箔(すりはく)や小紋、中形が登場する。
型模様はおもに染物を中心に発達してきたが、この技法は漆芸においても使用例が認められ、陶芸においても、型を使った染付が幕末から明治時代につくられている。
[村元雄]