感染症では、病原体が体内に侵入(感染)してから発病するまでの期間を潜伏期という。その内容は病原体の種類によって一様ではない。たとえば、マラリアなどは侵入した病原体が人体内で一定のところまで発育してから発病するものであり、腸チフスなどは侵入した病原菌が一定数まで増えてから発病するものである。また破傷風のように、侵入した病原菌の産生した毒素が脳神経に達してから発病するものもある。このように、ひと口に感染から発病までの期間といっても、感染症によってほぼ一定しているものと、かなり長短の幅があるものとがある。さらに同一疾患でも、侵入した病原体の量や毒力、ならびに感染した人の感受性などによっても影響される。
潜伏期間中は、一般に病的徴候を呈しないが、敏感な人には前駆症状(頭痛、食欲不振、めまい、不快感など)をみることがある。なお、潜伏期について注意すべき点は、〔1〕潜伏期間中でも病原体を排出する危険、つまり感染源となることもある、〔2〕破傷風や狂犬病のように発病してからでは治療が困難で、潜伏期間中に発病の予防的治療を行わなければならない疾患もある、〔3〕麻疹(ましん)のように潜伏期を利用してγ‐グロブリンの予防注射を行い、軽く発病させて免疫をつくらせるのがよい病気もある、などである。
[柳下徳雄]
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…上のようなフロイトの心的装置論は,今日の精神分析においてもおおむね継承されているが,新生児が混沌たるエスの塊であるという見方は疑問視されており,自我はきわめて早期に形成されてくるという見方が有力となった。 〈口唇期〉にはじまり〈肛門期〉〈男根期〉〈潜伏期〉を経てついに〈性器期〉に統合されるというフロイトの唱えた精神性的発達理論は,性愛の発達を核心に据えた一つの発達心理学である。フロイトは,口唇や肛門が対象――精神分析用語で人間対象を意味し,一個の人間全体は全体対象であり,乳房やペニスは部分対象である――との接触(たとえば授乳時の口唇)において,ないしはそれ自体の機能(たとえば便をためこんで排出するさいの快感)として,エロティックな機能を本来そなえていると同時に,これらの器官の機能を通して養育者に対する陰陽種々の感情がはぐくまれることに着目した。…
※「潜伏期」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...
12/17 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
11/21 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新