外貨預託(読み)ガイカヨタク

改訂新版 世界大百科事典 「外貨預託」の意味・わかりやすい解説

外貨預託 (がいかよたく)

通貨当局が保有する外貨(外貨準備)を有効に活用するためなどの理由で,それを外国為替銀行預託することをいう。日本の代表的な外貨預託の事例は1971年3月に実施された〈輸入外貨預託〉である。当時日本は外貨準備が増加する傾向が続いていたが,本邦為替銀行が輸入業者に供与する輸入金融(本邦ローンと呼ばれる)の原資は外銀借入れなど海外信用に依存していた。こうした状況のもとで,大蔵省は保有外貨の活用を図るとともに,本邦為替銀行の海外信用依存を是正し,その対外ポジション(資金ポジション)を改善するため,外国為替資金特別会計からこれら銀行に対して輸入金融の原資として外貨預託を行った。この制度は,翌72年8月に預託額の増額が図られるとともに,預託外貨の使途に関する制限が撤廃され,〈外貨預託〉と改称されて現在に至っている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「外貨預託」の意味・わかりやすい解説

外貨預託
がいかよたく

政府の外国為替資金特別会計より外国為替銀行に対する外貨の預託 (輸入外貨預託制度) をいい,モフ勘定とは異なる。 1971年3月に大蔵省はアメリカ短期金利低下によるドル・シフトの増加と外貨準備の急激な増加を避けるねらいから,外国為替銀行に対し外貨準備からの外貨直接預託を開始,日本銀行輸入資金貸付制度を補完することとなった。この結果それまでもっぱらアメリカの銀行に依存してきた日本の為替銀行の輸入ユーザンス供与のために必要な外貨は,外貨準備で一部 (一定割合) 肩代りされることとなった。なお本制度によって生じる金利差は,外国為替銀行に帰属することなく,すべて調整幅として輸入者に還元される。

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