大友氏遺跡(読み)おおともしいせき

国指定史跡ガイド 「大友氏遺跡」の解説

おおともしいせき【大友氏遺跡】


大分県大分市顕徳町にある館跡。大分市街地の南東部、大分川河口付近に所在する大友氏館(大友館)跡を中心とする中世の遺跡。2001年(平成13)に「大友氏館跡」として国の史跡に指定された後、2005年(平成17)に旧万寿寺跡地区が追加され、名称も「大友氏遺跡」に改められた。大友氏館は1辺約200mの四辺形で、典型的な守護館であったと推定。最盛期にはほぼ九州北半分を支配した大友宗麟(そうりん)(義鎮(よししげ))はキリスト教を保護し、明との貿易や南蛮貿易を行ったが、1586年(天正14)の島津氏の侵攻の際に焼き討ちに遭い、館は壊滅したとされる。遺跡からは15世紀から16世紀にかけての庭園遺構や整地された跡、掘立柱建物跡などが発見され、周囲からは貿易によってもたらされた華南や東南アジアの多数の陶磁器キリシタン遺物であるコンタツロザリオ)やメダイ(メダル)が出土。出土した陶磁器の多くには、炎熱の痕が認められ、大友氏館周辺が焼き払われたことを物語っている。万寿寺は1306年(嘉元4)に大友貞親(さだちか)によって建立された大友氏の菩提寺で、遺構からは紅地金襴手宝相華文碗(こうじきんらんでほうそうげもんわん)や褐釉(かつゆう)陶器水注といった貴重な陶磁器などが発掘されている。JR日豊本線ほか大分駅から徒歩約15分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

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