新年の祝儀として飲まれる茶の一種。王服、皇服、大福とも書く。大服とは、元来茶を多量に点(た)てることをいうが、大服が大福に音通するところから、祝儀茶として、新年の嘉例(かれい)として飲まれるようになった。現在では中に梅干しと昆布を入れて縁起を祝っている。また王服、皇服とは、村上(むらかみ)天皇(926―967)が六波羅蜜(ろくはらみつ)寺の観音を信仰され、尊前の献茶を服する夢をみて飲んだところ、病が治癒したとの故事からいわれるようになった。六波羅蜜寺では、古くより皇服茶の儀に空也上人(くうやしょうにん)の信仰を加味して、青竹による皇服茶筅(ちゃせん)を新年に授与する民間行事が行われる。
[筒井紘一]