寺門と本堂は東面し、本堂北側に水掛不動・
〈京都・山城寺院神社大事典〉
空也は紺紙金泥大般若経六〇〇巻の書写を発願し、一〇余年の歳月を費やして応和三年(九六三)にその功を遂げ、同年八月二三日
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京都市東山区にある真言宗智山派の寺。普陀落山と号する。西国三十三所観音霊場の第17番札所。寺域は京都の葬送地鳥辺野の入口で〈六道(ろくどう)の辻〉と呼ばれた地点にあり,古来葬送と死者追善の寺として庶民の信仰を集めてきた。963年(応和3)空也の建立で,当初は西光寺と称し,十一面観音像と脇士の二王・四王像を造立安置したという。977年(貞元2)中信が堂舎を修造し,寺号を六波羅蜜寺と改めて天台別院とし,法華八講や念仏を修して貴賤の信仰を集め,迎講(むかえこう)や地蔵講を行い,以後京都の諸人が講を行う寺として親しまれた。平安末期からは地蔵信仰の流行につれ,鬘掛地蔵の名でいまも信仰されている当寺の地蔵尊の霊験が喧伝された。近年の本堂解体修理で,基壇から平安末~鎌倉初期の泥塔7400基(重要民俗資料指定)が発見され,当時の庶民信仰の姿を伝えている。平安後期から中世末までの間にたびたび炎上しながら,そのつど勧進の力で復興をとげたのも,当寺が庶民社会に根を下ろしていたからである。近世には寺領70石,智積(ちしやく)院末寺となり,寺域も広く,1363年(正平18・貞治2)建立の本堂(重要文化財)のほか,開山堂,地蔵堂,不動堂,子院などがあった。年中行事として,若水で茶をわかし梅干しと結昆布を入れて参詣者に授ける元旦の皇服茶,節分会の六斎念仏と山伏の柴灯護摩,8月の8~10日に本堂内にともされる万灯会などが有名で,境内は多くの参詣者でにぎわう。空也が951年(天暦5)造像したと伝える本尊十一面観音像,口から6体の小さな阿弥陀仏を出す空也上人像(鎌倉時代)など重要文化財指定の仏像も多い。
執筆者:藤井 学
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京都市東山区轆轤(ろくろ)町にあり、真言(しんごん)宗智山(ちさん)派に属する寺。普陀落(ふだらく)山普門院と号する。本尊は十一面観音(かんのん)。西国三十三所第17番札所。951年(天暦5)悪疫流行のため、空也(くうや)が十一面観音像を刻み、洛中(らくちゅう)を引き巡って病気平癒を祈り、これを祀(まつ)って一宇を建立(963)し、西光(さいこう)寺と号したのに始まる。弟子の中信がさらに堂塔を建立していまの寺号に改め、天台別院とした。この地は、源平時代には平家の一族の邸宅が建ち並び、鎌倉時代には六波羅探題が置かれていた。このため幾度か兵火にあい、応仁(おうにん)の乱(1467~1477)にも焼失したが、豊臣(とよとみ)氏、徳川氏の帰依(きえ)によって復興した。現に本堂は室町初期の建造物で、本尊十一面観音立像(秘仏。12年ごとの辰(たつ)年に開扉)、脇侍(わきじ)の地蔵菩薩(ぼさつ)像、四天王像(以上、平安後期)、空也上人(くうやしょうにん)像(鎌倉時代)など(以上、国重要文化財)を安置している。このうち地蔵菩薩は「山送りの地蔵」「鬘掛(かずらかけ)の地蔵」として知られ、空也上人の立像は念仏を象徴した小さな阿弥陀(あみだ)仏像六体が口から出る形式のものとして有名である。そのほか、運慶・湛慶(たんけい)の自作と称する肖像彫刻や、平清盛(きよもり)の像と伝えられる僧形坐像(そうぎょうざぞう)、弘法大師(こうぼうだいし)坐像、吉祥天(きちじょうてん)立像、閻魔(えんま)王坐像(以上、国重要文化財)などがある。12月13~31日には空也踊躍(ゆうやく)念仏が行われる。
[勝又俊教]
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京都市東山区にある真言宗智山派の寺。普陀落(ふだらく)山と号す。963年(応和3)空也建立の西光寺が起源とされる。その没後,2世中信は寺観を整え,寺号を六波羅蜜寺と改めて天台別院としたという。法華八講・迎講・地蔵講や念仏三昧を修める寺として京都の貴賤の信仰を集めた。何度か火災にあうが勧進により復興され,近世以降は智積院末寺となる。十一面観音立像は国宝,空也(くうや)上人立像は重文。
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出典 日外アソシエーツ「事典・日本の観光資源」事典・日本の観光資源について 情報
…葬地である鳥辺野に近く,珍皇寺,西光寺などの寺院が建てられていた。空也が開いた西光寺は,その没後六波羅蜜寺と改称された。平安後期の1110年(天永1)平正盛は六波羅蜜寺内に阿弥陀堂を建立したが,このころから六波羅の地名が多く行われるようになった。…
※「六波羅蜜寺」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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