家庭医学館 「大気汚染による健康障害」の解説
たいきおせんによるけんこうしょうがい【大気汚染による健康障害】
日本では、産業の発展が先行し、大気汚染対策が遅れたため、1961年以降、石油関連産業の臨海工業地帯の四日市市で、気管支ぜんそくのような症状を訴える人が多発し、四日市(よっかいち)ぜんそくと呼ばれました。この四日市ぜんそくは、二酸化硫黄濃度との間に強い関連がみられることが報告され、大気汚染による公害病の代表的な事例になっています。
また、1970年には、光化学大気汚染に関連して、目や気道の刺激症状を訴える人が出て、なかには、呼吸困難、けいれん発作、意識障害で入院する人もいました。いわゆる光化学(こうかがく)スモッグ事件です。
大気汚染との関係が比較的明らかになったこれらの症状は、その後、大気汚染対策が進んだ結果、しだいにみられなくなってきています。
1987年の政府の専門委員会の報告書では、現状の大気汚染は、気管支ぜんそくや慢性閉塞性肺疾患(まんせいへいそくせいはいしっかん)(慢性気管支炎、肺気腫(はいきしゅ)など)の発症になんらかのかかわりをもっていることは否定できないが、過去のようなかかわりはみられないと報告しています。
しかし、自動車通行量の多い自動車道沿道では、調査の確保が必要であるとしています。