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浮遊粒子状物質 ふゆうりゅうしじょうぶっしつfloating fine particle; atmospheric particle

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

浮遊粒子状物質
ふゆうりゅうしじょうぶっしつ
floating fine particle; atmospheric particle

大気中に浮遊する粉塵,煙,ミストなどの粒子状物質で,粒径 10μm 以下のもの。 10~20μm より粒径が大きいと早期に落下するので,これらは降下煤塵として区別する。 10μm 以下の粒子は,呼吸により気道や肺に容易に達するため人体への影響が大きく,環境基準が,(1) 1時間値の1日平均が 0.10mg/m3 以下で,(2) 1時間値が 0.20mg/m3 以下であることと定められている。測定方法は,ろ過捕集法で捕集して,重量濃度または重量濃度と直接的関係の量を示す光散乱法が指定される。硫黄酸化物との相乗作用が特に注目されている。

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知恵蔵の解説

浮遊粒子状物質

大気中に浮遊する粒径10ミクロン(0.01mm)以下の粒子。鉱山採掘、トンネル工事、工場、自動車などから排出される粉じんや煤じん、道路粉じん、砂じんなどからなる。SPMは、じん肺や呼吸器系疾患を起こすが、微粒子の場合、重金属類を含む場合、硫黄酸化物や窒素酸化物と共存する場合などは、人体影響が相乗的に増大する。特にディーゼル車から排出される微粒子(DEP:diesel exhaust particle)は、粒径が2.5ミクロン以下で、ベンゾピレンなどの発がん物質を含む。米国では1997年にPM2.5(2.5ミクロン以下の微粒子)の環境基準を制定。日本でもディーゼル排出ガスのDEP規制の強化が図られている。中国内陸の砂漠地帯から春に飛来する黄砂は、炭酸カルシウムを含み、酸性雨を中和する効果があるとされる一方、排煙起源の大気汚染物質を含み、視程障害、呼吸器疾患をもたらすといわれる。

(畑明郎 大阪市立大学大学院経営学研究科教授 / 2007年)

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大辞林 第三版の解説

ふゆうりゅうしじょうぶっしつ【浮遊粒子状物質】

粒子状汚染物質のうち、粒子の直径が10マイクロメートル 以下のもの。慢性の呼吸器疾患の原因とされる。 SPM 。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

浮遊粒子状物質
ふゆうりゅうしじょうぶっしつ
suspended particulate matter

工場、事業場などから排出される微少物質で、とくにディーゼル車からの排出物に問題が多く、「粒子状物質」として大気汚染防止法で別途規制している。肺がん、呼吸器疾患、花粉症などとの関連が指摘されており、粒径10マイクロメートル以上を「降下煤塵」、それ以下を「浮遊粉塵」に大別している。とくに肺胞にまで吸入される2.5マイクロメートル以下の「微小粒子状物質」が健康に強い影響があるとされる。1997年(平成9)の測定では全国測定局の総平均が一般環境大気測定局で0.033ミリグラム/立方メートル、自動車排出ガス測定局で0.04ミリグラム/立方メートルであり、数年来横ばい状態である。環境基準は1日平均0.10ミリグラム/立方メートル以下とされ、97年度達成率は一般局で61.9%、自動車排出ガス測定局で34%で、とくに大都市圏の環境基準達成率が低い。対策として、工場などでは施設の種類、規模ごとに防塵装置が義務づけられ、またディーゼル車には車種別の規制がある。さらにスパイクタイヤ粉塵も地域ごとに規制され、98年には817市町村が原則使用禁止に指定されている。近年、ゴミ焼却場などから塩化ビニールなどの燃焼にともないダイオキシンを排出していることが明らかにされ、あらためて浮遊粒子状物質の対策が緊急課題となった。ダイオキシン類対策特別措置法が制定され、焼却施設に規制が定められ、全国的にゴミ焼却施設の大改装が進められることになった。[松田雄孝]

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世界大百科事典内の浮遊粒子状物質の言及

【大気汚染】より

… 浮遊粉塵大気中に浮遊する微細な粒子状物質の総称で,光散乱法などで測定する。日本では,浮遊粉塵のうち粒径が10μm以下のものを重量表示したものを浮遊粒子状物質と定義している。大気汚染発生源の多様化により,重金属,放射性物質,各種化合物塩類,錯塩,キレートなどが含まれるようになり,肺の深部まで到達する。…

※「浮遊粒子状物質」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について | 情報

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