六訂版 家庭医学大全科 「大腿骨骨幹部骨折」の解説
大腿骨骨幹部骨折
だいたいこつこっかんぶこっせつ
Femoral shaft fracture
(運動器系の病気(外傷を含む))
どんな外傷か
大腿骨骨幹部とは大腿骨の中央部で、皮質骨(X線写真で白く見える固い部分)で囲まれている円筒形のほぼまっすぐか、軽く
小児と成人でけがの原因が異なります。5~6歳以下の小児では虐待を含む転落が、15歳前後では交通事故が多くみられます。成人では、交通事故や転落などの高エネルギーによるものが多く、多発性の骨折を合併することもあります。
症状の現れ方
大腿部に強い痛みがあり、歩行はできません。さらに、大腿骨に付着している筋肉群の作用により骨折部が大きくずれて、明らかな変形がみられます。
検査と診断
前後左右の2枚のX線写真で診断はつきます。
治療法
小児と成人で異なります。12歳までの小児は、保存的治療(手術以外の治療)を行います。ずれがあれば、牽引したりしてなるべく元にもどして骨折部の癒合を待ちます。年少ほど多少のずれがあっても、成長につれて自然に矯正される力がはたらきます。
中学生以上であれば、早期の社会復帰を図るために手術を行います。骨髄のなかに太い釘(
合併症はどんなものか
小児では、成長につれて足の長さの違いがみられることがあります。通常は骨折した足のほうが長くなることが多く、骨折の治療が終了しても、骨の成長が終了するまでは定期的な診察を受ける必要があります。
また、変形などの後遺症が残るような骨折のずれが残った場合には、足の変形(横に曲ったり、ねじれたりする変形)がみられることがあります。
応急処置はどうするか
大腿部が大きく変形して歩行できないため、すぐに整形外科へ連れていってください。
王寺 享弘
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報