大菩峠(読み)だいぼさつとうげ

日本歴史地名大系 「大菩峠」の解説

大菩
だいぼさつとうげ

塩山市上萩原かみはぎわら小菅村境の鞍部を越える旧青梅おうめ往還の峠。標高一八九八メートル。北部に標高二〇五六・九メートルの大菩薩嶺がそびえ、南部は下り尾根で標高二〇一四・三メートルの小金沢こがねざわ山からくろ岳へと続く。峠の東斜面は多摩川支流の小菅川源流部、西斜面は笛吹川支流の川源流部をなす。近世、峠越えの道は国中くになかから萩原口と称し、青梅通・大菩薩越ともいわれ、甲州から武州多摩郡青梅を経て江戸に達する重要な道筋であった。大菩薩の地名由来については諸説がある。そのうちの一つ新羅三郎源義光にかかわる伝説は次のようなものである。後三年の役で奥州に向かった義光は当峠で通行に難儀し、このとき樵が現れ道案内をしたあと消え去った。義光が峠から西方に目をやると遥かに八旒の白旗が翻るのが見え、これは軍神の加護によるものと遥拝し「八幡大菩薩ト高声ニ讃嘆ス是レヨリ遂ニ嶺ノ名トナルト云フ」(甲斐国志)というものである。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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