丹波山村(読み)たばやまむら

日本歴史地名大系 「丹波山村」の解説

丹波山村
たばやまむら

[現在地名]丹波山村 奥秋おくあき上組かみぐみ中組なかぐみ下組しもぐみ高尾たかお押垣外おしがいと保之瀬ほうのせ所畑ところはた鴨沢かもさわ小袖こそで落滝おちたき親川おやがわ高畑たかはた・おまつり杉奈久保すぎなくぼ

四周を秩父ちちぶ山地・大菩薩だいぼさつ連嶺の諸山に囲まれる多摩川上流丹波川流域の山間に位置する。集落は同川沿いの河岸段丘上や山岳傾斜地に点在し、地名は峠を意味するタワとかタバからくるといわれる。西は上萩原かみはぎわら(現塩山市)、南は小菅こすげ村、東は武蔵国多摩郡川野かわの(現東京都奥多摩町)、北は同国秩父郡。古くは小菅村と一村であったが、文禄検地の際に二村になったという(甲斐国志)国中くになか地方から大菩薩峠を越えて二路に分れる青梅おうめ往還の一路丹波山通が通る。小菅村長谷寺(現廃寺)にあった嘉吉二年(一四四二)四月一八日銘の鰐口には「丹波山郷長谷村」と刻されていたといい(同書)、丹波山郷には現在の小菅村長作ながさくまで含まれていた。また戦国―近世初期には黒川くろかわ(鶏冠山、現塩山市)から当地にかけて砂金が多く産出した。文禄三年(一五九四)三月九日の浅野長政・長継連署判物写(同書)では「丹波山 金掘中」に対して諸商売の諸役を免除し、関東との境にあることから帯刀を許している。

丹波山村
たばやまむら

面積:一〇一・五五平方キロ

郡の北西端に位置し、多摩川上流丹波川の流域に広がる山村。村域は東西一八キロ・南北一〇キロに及び、北は埼玉県秩父ちちぶ大滝おおたき村、東は東京都西多摩郡奥多摩おくたま町、南は小菅こすげ村、西は塩山市に接する。面積の九七パーセントが山林で、うち六五パーセントは東京都の水源涵養林である。平地は奥秋おくあき・丹波・押垣外おしがいと保之瀬ほうのせなどの地に開けた小さな河岸段丘がある程度で、傾斜地が大部分である。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「丹波山村」の意味・わかりやすい解説

丹波山〔村〕
たばやま

山梨県北東端,多摩川最上流の丹波川流域を占める村。地名の由来には,峠を意味する「タワ」,「タバ」にちなむとする説など諸説がある。ほぼ全域を山林が占め,うち3分の2は東京都の水源林となっている。丹波川沿いに青梅街道 (国道 411号線) が通り,中心集落の丹波はかつては宿場町的性格をもっていた。南西の甲州市境に大菩薩嶺があるほか,紅葉の名所である丹波渓谷,青岩鍾乳洞などの景勝地がある。秩父多摩甲斐国立公園に属する。面積 101.30km2。人口 530(2020)。

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