国連海洋法条約第76条8項、および同条約附属書Ⅱに定めるところにより設置される委員会。正式名称は国連大陸棚の限界に関する委員会、略称CLCS。委員会は、国連海洋法条約の締約国から選出された地質学、水路学、地球物理学、国際法などの専門家21名で構成される。大陸や島に隣接する海底で浅い大陸棚から急激に深く傾斜する地点を大陸棚外縁(shelf edge)というが、委員会はこの外縁の限界の設定に関する事項について沿岸国に対し勧告を行っている。この勧告に基づき、沿岸国が設定した大陸棚の限界は最終的なものとなり、かつ拘束力を有する(国連海洋法条約第76条8項、同条約附属書Ⅱ第1条および第2条)。
なお、大陸棚外縁の限界の外側にある公海の深海底とその資源は、特定の国に帰属しない人類共同の財産として国際海底機構(ISA:International Seabed Authority)の管理下に置かれることが、国連海洋法条約により定められている。逆に、CLCSが大陸棚の地殻が陸地と同じ地質でできた自然な延長であると判断すれば、陸地と領海を分ける領海基線から通常200海里と定められている排他的経済水域(EEZ:exclusive economic zone)を、最大350海里まで延長できることになっている。
日本は2008年(平成20)11月に同委員会へ7海域、約74万平方キロメートルの大陸棚延伸を申請した。2012年4月、申請のうち、小笠原海台海域、南硫黄島海域、四国海盆海域、沖大東海嶺(おきだいとうかいれい)南方海域の4海域で勧告が得られ、九州・パラオ海嶺南部海域を再検討とし、このほかの海域は申請が破棄された。とくに四国海盆海域の勧告は沖ノ鳥島を基点とする海域であるため、同じ沖ノ鳥島基点の九州・パラオ海嶺南部海域は認められていないものの、沖ノ鳥島を岩礁ではなく島とした主張が初めて肯定される結果が得られた。これらの海域がある東シナ海と、北方のオホーツク海における大陸棚とEEZの設定に関しては、海洋権益を巡り、沿岸国の中国、韓国、ロシアの主張と意見が対立している。
[編集部]
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