天の羽衣(読み)アマノハゴロモ

デジタル大辞泉 「天の羽衣」の意味・読み・例文・類語

あま‐の‐はごろも【天の羽衣】

天人が着て空を飛ぶという、軽く美しい衣。
「天人の中に持たせたる箱あり。―入れり」〈竹取
天皇大嘗会だいじょうえなどの祭事沐浴もくよくするときにつける湯かたびら。

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精選版 日本国語大辞典 「天の羽衣」の意味・読み・例文・類語

あまの【天の】 羽衣(はごろも)

① 天人の衣装。元来は天人の資格を表わすもので、飛行するためのものではないが、後世、これによって空をかけめぐるもののように解された。
※竹取(9C末‐10C初)「天人の中に持たせたる箱あり。あまのは衣入れり〈略〉衣著つる人は心ことになるなりといふ」
古今六帖(976‐987頃)五「そらにとぶあまのはころもえてしかなうきよなかにかくものこさじ」
② 天皇が大嘗会(だいじょうえ)、神今食(じんごんじき)新嘗祭(にいなめまつり)などの祭事で沐浴(もくよく)のときに身につける湯かたびら。
西宮記(969頃)一一「主殿供御湯〈略〉天皇着天羽衣、浴之如常」

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歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典 「天の羽衣」の解説

天の羽衣
(通称)
あまのはごろも

歌舞伎浄瑠璃外題
元の外題
けいせい天羽衣
初演
宝暦3.12(大坂・三条座)

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世界大百科事典(旧版)内の天の羽衣の言及

【瓊瓊杵尊】より

…真床追衾は大嘗祭(だいじようさい)の儀式で天皇がふす衾と関係する。宮廷では11月の卯の日に大嘗殿で新しい天子となるための秘儀がとり行われるが,その際に新王は〈天の羽衣〉なるものを着て湯浴みした後に,悠紀(ゆき)・主基(すき)正殿で新穀を食して神座に設けた衾(寝具)にふすという(《西宮記》《江家次第》)。これは天の羽衣を着て天上の身分となった王が羊膜に包まれた嬰児として再誕し地上に来臨することの模擬行為と考えられる。…

【風呂】より


【日本】
 入浴方法には,密閉した部屋にこもらせた蒸気で蒸す〈蒸気浴〉と,湯槽(ゆぶね)にみたした温湯に入る〈温湯浴〉がある。現在日本では風呂といえば温湯浴が一般的であり,その湯槽および湯そのもの,または洗い場なども含めた部屋(浴室)ないし建物のことを風呂と呼んでいる。しかし風呂をこのような意味で用いるようになるのは,温湯浴が入浴の主流になる江戸時代後期以後の比較的新しいことであり,古代・中世から近世の前半ころまでは,風呂とは蒸気浴(蒸し風呂)のことであった。…

※「天の羽衣」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」