天使館跡(読み)てんしかんあと

日本歴史地名大系 「天使館跡」の解説

天使館跡
てんしかんあと

[現在地名]那覇市東町

近世のひがし村と久米村くにんだの境に位置。北の善興ぜんこう寺、東の那覇里主所なーふあさとうぬしどうくる久米村籍内、南は大門通に面し、西隣に東村籍内の親見世うえーみしがある。天使館の名のとおり、冊封使一行の宿舎となった館で、館屋とも称された。方音でクヮンヤ(館屋)といい、転じて通常クヮーナとよばれた。創建年は「琉球国由来記」「琉球国旧記」は尚巴志王の冊封時の永楽年間(一四〇三―二四)かとし、「球陽」は武寧王代(一三九六―一四〇六年)かとするが(同王九年附条)、いずれも確証はない。「中山伝信録」所載の天使館の記述および天使館図によると、建物は中国の官衙と同様で、前面三方を柵で囲んでいた。柵の東西に門があり、中に進むと左右二楹ずつの房屋があり、接待役人の事務所にあてられた(南島風土記)石畳甬道を進むと南面する大門があり、門内には東西に役房六楹がある。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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