日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
天津にはられた義和団のビラ
てんしんにはられたぎわだんのびら
1900年5月
神が拳(けん)を助け、義が団に和するのは、鬼子が中原(ちゅうげん)をさわがすからである。キリスト教を宣伝するのは、天を冒涜(ぼうとく)することだ。人々に神仏を敬わさせず、祖先を忘れさせる。男には倫なく、女には節を少なくさせる。
鬼子は人の生んだものではない。もし信じないならば、子細に見るがよい。鬼子の目ん玉はみな青みがかっているではないか。雨が降らず、地が乾(かわ)くのは、教会の塔が天に聳(そび)えているからだ。それで神は怒り、仙はいらいらする。彼らは山を下り、道を伝えようとする。
これはデマでもなければ、また、白蓮教(びゃくれんきょう)でもない。口頭のまじない文句で真言をおぼえ、黄表を祭壇で焼き、香煙を焚(た)いて、これら多くの神仙の下降を請い願う。
神は洞を出、仙は山を下り、人間を扶助して拳をふるわせる。兵法はやさしく、学拳は助けられるので、鬼子を追い払うのは難(むずか)しくはない。鉄道を毀(こわ)し、電線を切断し、ついでまた、大きな汽船を破壊する。フランスはキモを冷やし、イギリス、ロシアは勢い蕭然(しょうぜん)となろう。すべての国の鬼子をみな殺しにして、大清(しん)一統の昇平を慶賀しよう。