冒涜(読み)ボウトク

デジタル大辞泉 「冒涜」の意味・読み・例文・類語

ぼう‐とく【冒×涜】

[名・形動](スル)神聖なもの、清浄なものをおかし、けがすこと。「神を冒涜する」
附近に人が居るのを知ると、ハッとしてその―な口をつぐんだ」〈菊池寛忠直卿行状記
[類語]涜職涜神

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精選版 日本国語大辞典 「冒涜」の意味・読み・例文・類語

ぼう‐とく【冒涜】

  1. 〘 名詞 〙 ( 形動 ) 神聖なもの、尊厳なもの、清らかなものをおかしけがすこと。また、そのさま。
    1. [初出の実例]「冒涜尊威、伏増汗懾某誠惶誠懼」(出典:松山集(1365頃)上海蔵先師書)
    2. 「神明に誓ひ万死を冒し威厳を冒涜(バウトク)し奉り候」(出典:近世紀聞(1875‐81)〈染崎延房〉五)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「冒涜」の意味・わかりやすい解説

冒涜
ぼうとく
blasphemy

キリスト教では「涜神」ともいい,言葉や行為によって神に侮辱を与えること。神をけがすことや不敬を伴わないかぎり,神の存在を否定したり,特定信条を疑い,否定しても必ずしも冒涜とはならない。イスラムでは神だけではなく,ムハンマドに対する侮辱も冒涜となる。冒涜に対する罰はすでに旧約聖書において石打ちの刑と定められており,のちのユスチニアヌス法典 (→勅法彙纂 ) や中世立法も社会への犯罪として死刑に定めている。啓蒙時代以降政教分離とともに冒涜は国家への罪とは認められていない。

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