… 特産物は,丹南の鋳物が室町期には下野佐野の天明鋳物に市場を奪われつつあったのに比し,新たに木村(このむら)のゴマ油,若江の菅笠などの生産が発展した。また寺領の年貢米で醸造される金剛寺の清酒は,守護畠山氏により将軍家へも献上され,世に〈天野酒〉として京の柳酒,大和菩提山酒と並ぶ天下三銘酒に数えられるほどであった。河内南部ではみそ,コンニャクなども生産された。…
…すなわち,まず蒸米,こうじ,水でつくった酒母に蒸米,こうじ,水の混合物を2度にわけて順次仕込んでもろみ(醪)を増量する二段仕込法が開発された。15世紀ころ名酒の名をうたわれていた天野酒は,現大阪府河内長野市の天野山金剛寺がつくっていた酒であるが,この技術を採用しており,おそらく酸味のおだやかな点が世にもてはやされたものであろう。15世紀末になると,3度にわけて仕込む三段仕込法が奈良興福寺の塔頭(たつちゆう)多聞院で行われ,さらに16世紀後期には同寺で酒の保存性をよくするための加熱殺菌法を行っている。…
※「天野酒」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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